CCR0305

キャンドルリアクター03号機〜05号機

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02号機までは全く稼働しなかったキャンドルリアクターの再挑戦の記録です。 前回までの課題を受け,火力と熱容量の向上を目指しました。 03号機〜05号機は半分ぐらい迷走していた感じもしますが, 05号機でどうにか当初の目的は達成できました。

前号機までの作成記録はこちら: 01~02号機

試作03号機

03号機のパーツ達。明らかに金属部品の割合が増えてますね。 燃料プール部分は完全に金属になりました。 炉心部はなまし銅パイプとそれを取り囲むプラスチック製パーツで構成されています。

燃料プールに関してはこの03号機の方式が06号機まで継承されました。 しかし炉心部に関しては組み立てすら叶いませんでした。 そういった意味で成功と失敗がきれいに半分ずつになったのがこの03号機です。

燃料プール部分の組み立ての様子。写真右側に見える2種類ステンレス缶の底に穴を開けて, それらをボルトで接合し2重缶にします。この2重缶の外側に水,内側に燃料となるロウが入ります。 02号機に比べて伝熱面が大きくなり,ロウが伝熱面に振れたまま炉心部へ落下していく経路になりました。 ロウが途中で固まらないような工夫ですね。

二重缶をつなぐボルトです。真鍮製のM10ボルトで軸にφ4の穴を開けました。 この穴を通って溶けたロウが炉心部に落下していきます。 また,ステンレス缶をボルト接合したときに隙間が生じると水やロウの漏洩になりますので, 写真左にあるようなガスケットを缶と缶の間に挿入しています。

燃料プール完成図。 燃料プールに関してはもはや3Dプリンタ製パーツが缶の支えだけになりました。 火を扱う器具においてはやはり金属材料が最強。。。 外側の部分に水を,内側に燃料となるロウを投入します。 ガスケットの効果もあってか,無事に漏洩せずに組み立てられました。

この燃料プール部分はかなり上手くいきそうなポテンシャルを持ってましたので, このあと5号機まで流用されることになります。

一方の炉心部分のイメージ図。 イメージ図しか出てこないということは,完成しなかったということです。 想定では燃料プールで溶けたロウをパイプに導き 図のようにぐるっと周回して下に落ちていくようなものでした。 周回している銅パイプの随所の上面に穴を開け, そこに糸を垂らして燃焼部にします。 銅パイプの周囲には水を蓄えておく隙間があり溶けたロウが保温されます。 4箇所ぐらい火源を設けることで02号機の失敗原因である火力不足を克服するはずでした。

銅パイプを曲げるために図のようなジグも用意しましたが, こんなジグ程度では全く曲がりませんでした。 結局,03号機の炉心部は銅パイプを上手く曲げることができなかったので, 組み立てすら叶いませんでした。 ジグがヘボいのと,最小曲げ半径ギリギリを狙いすぎた設計が原因です。

試作04号機

04号機に関しては,燃料プール部分は03号機のものをそのまま使用しています。 そのため炉心部分だけを再設計しましたが,この号機も見事失敗しています。 見た目的には初めて三角形を離れ,星型エンジンみたいな感じになりましたね。

03号機は銅パイプの加工が上手くできずに撃沈したため, なるべく簡単な加工を心がけました。

組み立ての様子。 銅パイプはパイプベンダーで90度ぐらいに曲げ, 水道管テープで止液処理をしています。 中央と銅パイプ内の液位が同じになることを利用し, 銅パイプの上端を加熱源とする予定でした。 銅パイプを挟む中央のパーツは六角ボルトで接合します。

組み立て完了の様子。 中央部の傘のような部分は,直接下にロウが落下しないようにするためのものです。 銅パイプの周囲の空間は03号機と同様で,保温のための水を蓄えておく空間です。 組み立て後に水で止水性能のテストをしたところ,その点に関しては上手く行ったことが確認できました。

いきなりですが動作試験失敗の様子。 中央部分に固まったロウが溜まっていますが,銅パイプ部分にはほとんどロウが来ていません。 炉心部でロウを液体の状態で保持できなかったようです。 早めに銅パイプ部分に点火できればよかったのかもしれませんが, そもそも点火するための初期燃料となるロウがなかったのでそういう訳にもいかず, 銅パイプにロウが来るのを待っている間に全てが固まってしまいました。

試作05号機

おまたせしました。ついに05号機にして稼働するキャンドルリアクターができました。 いやぁここまで長かった。。。

この05号機はこれまでの燃料プール部→炉心部の2層構造を捨て去り 「燃料プール部内に加熱源を設けて直接ロウを溶かしてしまおう」というコンセプトになっています。

基本的には03号機のものを使用していますが,燃料プール部内筒に厚さ10mmの真鍮製円盤を取り付けています。 そしてその円盤の周囲4箇所に穴を開けました。その穴に加熱源となる芯を差し込む構造です。 また,重量が大きくなったため燃料プール部の下からも支えるパーツや温度計を保持しておくパーツを追加しました。

加熱源となる芯は今まではタコ糸をそのまま垂らしていただけだったのですが, 05号機では竹ひごにタコ糸をソレノイド巻きしたものを使用しています。 この構造は和ろうそくの芯を真似たものです。 芯が太くなったおかげで火力が上がるだけでなく,竹ひごが自立してくれるので穴に差し込んだときの安定性も上がりました。

稼働している様子。 芯が改良されたためか加熱源は1箇所でも十分そうな感じでした。 火が今までのものより近くにあるのでみるみるロウが溶けていきました。

しかしながら,欠点としては

  • 火のついた場所に燃料を投下する必要があるので,入れ方・量に気を使う。
  • 火の横や上にあるロウは気化してしまう分もあり,転換されるロウが少なくなる。

といったものが挙げられます。まずは動いたので良しですが改善の余地が残りました。

To Be Continued

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