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キャンドルリアクター01号機〜02号機

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「キャンドルリアクター」という謎の装置を思いつき,実現してみようと試行錯誤した記録です。 結果から述べると,この01号機〜02号機では稼働しませんでした。 「一体何を作りたかったのか?」という解説と「敗北の記録」をご覧下さい。

一般的なキャンドルの再生産方法

そもそもキャンドルを買ったきっかけは,台風などの災害で停電になったときに光源として使うためでした。 その後,結局停電はしなかったので,当然のように災害関係なしにキャンドルに火をつけて遊び始めます。 さて,火遊びをしているとキャンドルは必ずしもきれいに燃え尽きません。 外枠部分だったり,破片だったりとキャンドルの残骸が溜まっていきます。 この残骸をそのまま捨てるのはもったいないので「キャンドルを再生産しよう」という流れになります。

一般的なキャンドルは「パラフィンワックス」からできており 融点が70℃前後(成分によって上下します)ですので, 湯煎して型に流し込むことで再生産することができます。

キャンドルには芯が必要ですので,タコ糸を割り箸で挟むなどして中心に垂らしておきます。 型は使用時に取り除くのであれば紙コップなど用いて,冷えたあとに破くときれいにできます。 また写真のように金属製のカップを型に使用すれば, 持ち運びに便利なのでキャンプなどで使用しやすくなります。 タコ糸,紙コップ,金属製カップなどはすべてダイソーなどで入手可能なので, キャンドルの再生産は気軽にできて面白いDIYです。

キャンドルリアクターのコンセプト

ここまでコンロで湯煎することでキャンドルの再生産が可能であることをご紹介しました。 しかしながら鍋は調理に使うものであり,ロウの湯煎にはなるべくなら使いたくありません。 またロウの特徴をおさらいすると,

  • ロウは湯煎で簡単に溶融する。
  • ロウは火をつけることで加熱源となる。

という点が挙げられます。 この特徴から「自身の発する熱で自身のための燃料を生成しつつ, 過剰に生成された燃料をキャンドル再生のために提供する装置」を思いつきました。 左の落書きが思いついたときに書いたアイデアスケッチです。 真ん中の楕円が火を表しています。 火が上部を熱してそこから落ちてきたロウが火に供給されつつさらに下に落下していく, という様子なのですが絵が下手ですね。

比較的まともなスケッチ。といってもこれは03号機設計時のもので, キャンドルの火を4つにすることで高火力化を狙っています。 ロウがどのように流れていく(はずだった)のかが伺えます。

以後,キャンドルの火を保持する中段の部分を炉心, ロウを投入して溶融させる上段の部分を燃料プールと呼称します。 リアクターっぽいですね。 キャンドルリアクターの設計のポイントとしては,

  • ロウが火の上に落下しないように両者の軸をずらして配置すること
  • ある程度の量のロウを炉心部で保持しておき,燃焼に利用できるようにすること
  • 温度が冷えるとロウが固まるので,溶融・流動させたい部分は保温できるようにすること

といったものが挙げられます。1つ目と2つ目は幾何学的問題なので装置の構造でなんとかなりますが, 一番大変だったのは3つ目のポイントをクリアすることでした。

さて,いよいよここから(稼働しなかった)実機を紹介していきたいと思います。

試作01号機

記念すべき1号機目のパーツです。 左から燃料プール,炉心,炉心から落ちて来たロウを集める部分です。 このころは「3Dプリンタでなにか作りたい!」という欲求が強かったため, 何も考えずにほぼオールプラスチックで作っています。 燃料プールの裏部分の加熱面には銅円盤をはめ込むようになっています。 一応「火の影響を受ける部分は片面加熱で反対側には水が蓄えられており, 100℃の一定になっているから伝熱的に大丈夫」的な思考だったと思います。

正気か!?その板厚とその材料物性で!?

全体的にデザインが三角形なのはトニー・スターク氏のアークリアクターに感化されてるからです。

ろくな写真が残っていませんが,このように寸切りボルトを支柱代わりにして自立させます。 燃料プールの上段にロウ,下段に水を入れます。 溶けたロウは三角形の頂点部分から炉心部に落下します。 炉心部に落下したロウがある程度の液位まで貯まると,今度は炉心の三角形の辺の中点にある穴から 下に落下し,その下のパーツを経由して中央の穴から紙コップへ回収されます。 という想定でしたが,実動試験をやる前に正気に戻ったので組み立てるだけで止めました。 おかげで家が燃えずに済みました。

試作01号機の教訓と課題として,以下の点が挙げられます。

  • 火が接触する部分には金属製品を使う。

試作02号機

試作02号機のパーツです。右下のステンレスボウルなど,多少は金属部品を使うようになりました。 左上のパーツたちは強度が不足しており,セットするとたわみます。 右上のパーツは炉心の第一壁となるステンレス皿を中央にセットし, ステンレス皿から溢れたロウを回収して下に流すパーツです。 ちゃんと稼働していればイイ感じにしたと思います,たぶん。 左下に見えるように銅パイプを曲げて流路にしようとしていますが 今にして思うとこの銅パイプ関連は完全に余計な回り道でした。

組み立てて火をつけてみた様子。 少なくとも火をつけることはできたので,試作01号機よりは進捗が感じられます。 ステンレスボウルに水を張り,その上に燃料プール部分のパーツをセットしています。 ここの伝熱が悪いのか,火力が弱すぎるのか,ほとんどロウが溶けませんでした。 また炉心部分も火の根本部分のロウだけが溶けている状態で,下に流れる気配がありませんでした。

試作02号機の教訓と課題として,以下の点が挙げられます。

  • キャンドル1本の火力では水を保温できないので複数のキャンドルが必要。
  • 炉心部を含めロウが溶けた状態を保持するために熱容量が必要。

To Be Continued

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